
営業中にシンクが流れない、厨房の床がぬれる、トイレが詰まる。飲食店の水道トラブルは、調理や接客に直結します。まずは原因を決めつけず、問題の設備の使用を止めて、被害が広がらないようにしましょう。
自分で対応できるのは、排水口の取り外せる部品の清掃、グリーストラップの日常清掃、紙による軽いトイレ詰まりなどです。水漏れは止水による応急処置を行い、修理が必要な箇所は業者に相談してください。この記事では、必要な道具・手順・中止する目安を状況別にまとめます。業務用設備は構造が異なるため、設備の取扱説明書を優先してください。
急いでいる方へ|症状から対処手順を選ぶ
| 症状 | 最初の対応 | 手順 |
|---|---|---|
| シンクの水が流れにくい | 水を足すのを止め、見えるゴミを回収 | シンクの清掃へ |
| グリーストラップにゴミ・油がたまっている | 厨房からの排水を止める | 日常清掃へ |
| 蛇口・シンク下から水が漏れる | 設備を使うのを止め、給水側なら止水 | 水漏れの応急処置へ |
| トイレが紙で詰まった | 追加で流さず、利用を停止 | トイレの対処へ |
汚水の逆流・大量の漏水・複数箇所の詰まり・電気設備への浸水がある場合は、自分で作業を続けず管理者と業者へ連絡してください。汚水が食品や調理器具に触れた場合は該当する作業を止め、店の衛生管理手順に沿って対処します。店全体で水が出ない場合は、建物の管理者や水道事業者の断水情報も確認してください。
飲食店で水道トラブルが起きる主な原因
油脂・食材くず・汚れの蓄積
調理や食器洗いで流れた油脂は、冷えて固まると配管を詰まらせる原因になります。食材くずや排水口の汚れも、流れを妨げます。横浜市は油脂が冷えて固まり下水管などの詰まりを起こすことを案内し、LIXILも固形物・油汚れの蓄積を排水不良の原因として挙げています。
参考:横浜市「グリーストラップの設置について」/LIXIL「キッチンの排水の流れが悪い」
グリーストラップの清掃不足
グリーストラップは、厨房排水から残渣や油脂を分離する設備です。清掃を怠ると油脂が流出し、詰まりや悪臭につながります。福井市はバスケットの清掃を毎日、浮いた油脂の回収を週1回程度の目安としています。ただし油の量や設備によって必要な頻度は変わるため、メーカー・地域の案内と店の使用状況に合わせて増やしてください。
参考:福井市「除害施設の維持管理について」/川口市「グリーストラップを設置して正しく使いましょう」
トイレへの異物投入・設備や配管の不具合
大量のトイレットペーパーや水に溶けない異物は、トイレ詰まりの原因になります。また、配管の勾配や排水経路の問題は清掃だけでは解決できません。水漏れも、部品・接続部・配管など原因が複数あるため、「締めれば直る」と決めつけないことが大切です。
自分で対処する前に用意する道具
| 用途 | 必要な道具 |
|---|---|
| 共通 | ゴム手袋、バケツ、吸水布、回収用容器・袋、設備の取扱説明書 |
| シンクの清掃 | 台所用中性洗剤、やわらかいスポンジ、排水口用ブラシ |
| グリーストラップの日常清掃 | 専用のすくい網・油回収用具、密閉できる回収容器 |
| 止水 | 止水栓の形状に合う工具(溝付きの場合はマイナスドライバーなど) |
| トイレの紙詰まり | 便器に適合するラバーカップ、養生シート、汚水回収専用ポンプなど |
清掃道具・汚水用バケツは、食品や調理器具に使うものと分けてください。手順が不明な分解、針金の押し込み、熱湯で詰まりを溶かす方法は行いません。洗剤や薬剤は混ぜず、パイプ洗浄剤は設備との適合・使用量・放置時間を確認できる場合に限ります。
状況1|厨房シンクの水が流れにくい

対象:ゴミ受けや排水口に見える汚れによる軽い排水不良。完全に詰まって水が引かない、別の排水口から逆流する場合は業者に相談します。
- 水を止める。シンクや同じ排水系統の食器洗い機から水を流すのを止め、手袋を着用します。
- ゴミ受けを外す。食材くずを容器に回収します。奥へ押し込んだり、下水へ流して捨てたりしません。
- 説明書で外せる部品だけ清掃する。排水ワン・封水筒などがある場合は、外す前に向きを写真に残します。中性洗剤とスポンジ・ブラシで部品と届く範囲の汚れを落とします。
- 部品を元通りに戻す。防臭用の部品も確実に戻します。外したまま使うと、臭いや害虫が侵入する原因になります。
- 少量の水で確認する。流れとシンク下の漏れを確認し、水位が上がる・漏れる場合はすぐに止めます。
中止する目安:清掃しても流れが改善しない、すぐ再発する、配管から漏れる。シンク下の配管や封印された部分は外しません。LIXILは排水管から水漏れするおそれがあるとして、シンクでのラバーカップ使用を控えるよう案内しています。厨房シンクでも、設備の適合が不明なまま圧力をかけないでください。
手順の参考:LIXIL「キッチンの排水の流れが悪い」。掲載される家庭用設備の案内をもとに、この記事では清掃可能な範囲に限定しています。
状況2|グリーストラップにゴミ・油がたまっている

対象:安全に開けられる設備のバスケットと表面に浮いた油。重いふた、腐食したふた、大量の底部汚泥、あふれ・逆流は専門業者へ相談してください。
- 流入を止めて作業場所を確保する。接続するシンク・食器洗い機の使用を止め、手袋を着用します。ふたを開ける場合は周囲への立ち入りを防ぎます。
- バスケットの残渣を回収する。設備の説明書に沿って取り出し、残渣を回収容器へ移します。
- 浮いた油脂をすくい取る。専用の用具で回収し、密閉できる容器に入れます。取り除いた油や残渣は排水口・トイレへ流さず、地域のルールと廃棄物処理の契約に沿って処分します。
- バスケット・ふたを戻す。取り外した部品を元の位置に戻し、ふたを確実に閉めます。槽内に入ったり、トラップ管や仕切り板を自己判断で外したりしません。
- 少量の排水で状態を確認する。水位が異常に上がる、逆流する場合は使用を止めて業者へ連絡します。
中止する目安:清掃後も排水不良・強い臭いが続く、ふたを安全に扱えない、底に汚泥が大量にたまっている。排水不良が直っても臭いが残る場合は、発生源を別に調べる必要があります。
参考:玉野市「グリーストラップの適正な維持管理をお願いします」。自治体の案内でも、取り除いた油分・ごみを下水へ流さず適正に処理するよう示されています。
状況3|蛇口やシンク下から水が漏れている

- 水の使用を止める。蛇口を閉め、シンクや関連する機器の使用を停止します。水を流したときだけ漏れる場合も、確認のために何度も流しません。
- 給水側の漏れは器具の止水栓を閉める。説明書で場所・形状を確認します。ねじ式・ハンドル式は一般に時計回りで閉まりますが、レバー式などは操作方法が異なります。湯水両方の接続がある場合は両方を確認し、固い栓は無理に回しません。
- 止まらない場合は管理者へ連絡する。店舗専用の元栓が特定でき、安全に操作できる場合は閉めます。テナントでは共用設備への影響があるため、共用の元栓を自己判断で操作せず管理者と調整してください。
- バケツ・吸水布で水を受ける。安全に届く範囲で床の水を拭き、立ち入りを制限します。ぬれたコンセント・電源プラグ・機器には触れません。
- 写真を撮り、修理を依頼する。漏れた場所、蛇口を閉めても漏れるか、止水で変化したかを伝えます。ナットの増し締めや部品交換は、原因と正しい手順が分からないまま行いません。
排水側から漏れる場合は、止水栓だけでは止まりません。同じ排水系統へ流れる水の使用も止めてください。止水できない、大量に漏れる、壁・床から水が出る場合は、応急処置と並行してすぐに連絡します。
止水の参考:TOTO「止水栓の閉め方と調整方法」
状況4|トイレがトイレットペーパーで詰まった

対象:トイレットペーパーなど、水に溶けるものが原因と分かる軽い詰まり。おしぼり・生理用品・清掃シート・玩具などを落とした、原因が分からない場合は業者へ相談します。
- 追加で流さず利用を止める。止水栓を閉め、自動洗浄がある機種は説明書に従って停止します。
- 床と便器周辺を養生する。シートや布を敷き、手袋を着用します。水位が高い場合は汚水専用ポンプなどで回収し、TOTOの目安である便器上面から10cm以上低い水位を確保します。回収に調理用の道具は使いません。
- 適合するラバーカップを密着させる。便器・排水口の形状に合う製品を使い、カップ部分が水に浸かる状態で排水口に密着させます。
- ゆっくり押し、勢いよく引く。押し込む力で詰まりを奥へ送るのではなく、引く動作を中心に繰り返します。改善が見られない場合は続けません。
- バケツから少量ずつ水を入れて確認する。水位が上がったらすぐに止めます。いきなり洗浄ボタンやレバーで大量の水を流さず、正常に排水されることを確認してから通常の状態に戻します。
中止する目安:水位が下がらない、異物を落とした、すぐに再発する、他の排水口にも異常がある。取れた異物を再び流さず、使用した道具と周囲は店の衛生管理手順に沿って洗浄・消毒します。
手順の参考:TOTO「便器のつまりの対処方法」
自分で解決できない場合は、水まわりの業者へ
清掃しても直らない詰まり、繰り返す水漏れ、修理後も残る臭いは、配管内部や建物側の確認が必要な場合があります。飲食店では厨房の衛生と営業への影響もあるため、無理に作業を続けず相談しましょう。
- すぐ相談:汚水の逆流、複数箇所の詰まり、止水できない漏水、床・壁への浸水。
- 清掃後に相談:流れが改善しない、短期間で再発する、臭いが残る。
- 設備の状態から相談:重い・傷んだグリーストラップのふた、大量の汚泥、取り外し方法が分からない部品。
連絡時は「店舗の所在地」「症状と発生場所」「いつから起きたか」「試した作業・薬剤」「希望の作業時間」「管理会社への確認状況」を伝えると、状況を整理しやすくなります。作業前には、内容と追加費用を含む支払総額を確認してください。業者選定で確認したい3つのポイントもご覧ください。
飲食店の水道トラブルでよくある質問
油詰まりは熱湯を流せば直りますか?
熱湯での解消を前提にしないでください。設備によって耐熱条件が異なり、奥の固着した油や異物も取り切れるとは限りません。外せる部品の清掃で改善しなければ、配管の状態を確認してもらいましょう。
流れは戻ったのに臭いが残る場合は?
外した防臭部品が元通りに戻っているか確認してください。それでも臭う場合は、残った汚れや排水経路などの調査が必要です。香りで隠すだけで済ませず、臭いの発生源も相談しましょう。
夜間や休日でも相談できますか?
FLOWTECHでは夜間・休日の緊急対応もご相談いただけます。所在地・症状・作業員の状況を確認して、対応可否をご案内します。常に即時対応できるという意味ではありません。
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